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インタビュー

著者に訊けビジネス選書家 藤井孝一の直撃インタビュー

ビジネス書のベストセラー著者に、著者インタビューで定評のある藤井が直撃体当たりインタビューをしてきます。本に書けなかったメイキングから、執筆の苦労話、読者への熱いメッセージまで、著者から引き出します。

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2007/06/05
転職のバイブル 2008年版 ‐ 佐藤文男さん

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今回は『転職のバイブル 2008年版(経済界)』の著者、佐藤文男氏にお話を伺います。本書では、転職市場や転職を成功に導く鉄則などを紹介。現役ヘッドハンターのトッププロが成功の法則を伝授する1冊です。
佐藤文男
佐藤文男(さとう・ふみお) さん

http://www.sato-jinzai.com/
1960年東京生まれ。 1984年一橋大学法学部卒業後、日商岩井、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券、ブリヂストン等異業種を経て人材紹介(サーチ)ビジネスへ。2003年に佐藤人材・サーチを設立。著書に『ヘッドハンティング・バイブル』、『転職でキャリアをつくる!』、『転職診断』などがある。

●現在のお仕事をお教え下さい。

佐藤:主に、自ら人材スカウトを行なうと同時に後進のコンサルタント(ヘッドハンター)の育成を行なっています。この他に、キャリアアップ(転職)、中途・新卒採用の講演・セミナーなどの依頼も引き受けています。

●本書を書かれたきっかけをお教え下さい。

佐藤:実は、2005年に『転職バイブル 2006年版』を出しているんです。今回の『
2008年版』はその改訂版です。転職状況が、この2年で大きく変化したので、今回、出版する運びとなりました。
改訂版では、年代別の心構えや注意点をまとめています。また、読みやすくするため、転職を成功に導く鉄則を50から35に集約して、それぞれの説明も約2ページに絞り込みました。

●今後も続編が出る予定はありますか。

佐藤:まったく状況が変わらないのに、毎年、新卒向けに就職本って出ているじゃないですか。そういうのは避けたいですね。もし私が続編を書くとしたら、それは転職状況が変わった場合です。
もしかしたら、2009年に景気が引き気味になって、『2010年版』を出すことになるかもしれません。

●数ある転職本のなかで、本書が売れている理由は何だと思われますか。

佐藤:いままでの転職本は評論家、またはライターの方が調べて書いたものばかりでした。おそらく転職の現場の人間が、現状に即した形で書いたことが、読者に受け入れられたのではないでしょうか。ビジネスパーソンの方から「現場の人が書いたということがひしひしと伝わってきた」との声も多数いただいています。

●昔と比べて、転職のイメージは変わってきていますか。

佐藤:いまから17年前、私が初めて転職した時は、周りから「せっかく一流企業に入ったのに・・・・・・」とずいぶん不思議がられましたが、いまでは転職も一般的になりました
とはいっても、20代で2回、30代で3回、40代で4回、50代は5回が限度です。採用担当者も、あまりにも転職回数が多いと、我が社に入社しても、すぐに辞めてしまうんじゃないかと考えてしまうことでしょう。

●転職者の給与水準が上がっているのでしょうか。

佐藤:ギャンブルにおいては人は勝ったときにしか言いません。それと同じで、給与が下がった人はあまり語らないものなので、上がった人だけが目立っているだけです。

●週末起業も同じですよ。成功している人はメディアに出ますし、失敗している人は出ませんし。

佐藤:給与が上がる転職者でいちばん多いパターンは、転職後に活躍して実績を出して上がっていく人です。昔に比べて、成果主義が浸透してきている証拠ですね。

(続く)

●転職する際の注意点をお教え下さい。

佐藤:まず、思いつき転職にはしないようにして下さい。よく考えないで転職してしまう人が増えているんですよ。当然、詳しい会社のことは入社してみないと、わからないこともたくさんあります。でも、きちんと転職活動の計画を立てることは大切です。
最近では、24、25歳を対象に、転職サイトからスカウトメールが送られてきます。私に言わせれば、スカウトというのは、キャリアを持っている人に対して行なうものなので、24、25歳でスカウトというのはおかしいんですが・・・・・・。
でも、入社して2、3年のときってちょうど悩むときなんですね。だから、転職の誘いがあると、安易に転職してしまうんですよ。そんなことでは、転職先に入社してから後悔することになります。
2つ目が思いつき転職に絡むことになんですけど、短期間で転職を繰り返す細切れ転職です。これも最近、増えてきています。若いうちに細切れ転職をやってしまうと、信用がなくなるんですよ。キャリアとして会社にアピールするためには、最低3年の在籍期間が必要ですね。

●いわゆる履歴書が汚れてしまうという状態ですね。

佐藤:そうです。とはいうものの、実は、私自身、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券には、1年半ぐらいしか在籍しませんでした。この点は私自身非常に反省しています。

●40、50代の転職者で気をつける点はありますか。

佐藤:できれば、柔軟性のある30代のうちに、一度は転職しておいた方がいいですね。とはいえ、40代からの転職が無理だと言っているわけではありません。40、50代の転職の方も積極的に転職にチャレンジしてほしいものです。
40代の問題点は、もうすでに自分自身のスタイルを確立してしまっているので、新しい環境に馴染みにくいということです。
たとえば、大企業の課長からベンチャー企業の役員に転職する場合、いままでの認識を切り替えることができるかどうかが、転職成功のキーになります。
大企業の場合、サポート体制は万全です。しかし、ベンチャー企業の場合、たとえ役員でも、コピー取りやファックス送信も自ら行う必要があります。そのため、そこで「俺は役員待遇なのに、どうして?」と職場環境につい不満を持ってしまうんです。
ベンチャー企業では役員もプレイングマネージャーなんですよ。早めに意識を切り替えなくてはなりません。

●ベンチャーでは社長でもプレイングマネージャーですよね。

佐藤:その通りです。私自身も社長と言えども、何から何まで自分でしていますから。おそらく社内で一番働いていますよ(笑)。
次に、50代の場合、細切れ転職には気をつけてほしいですね。50代の人でも、会社側から早期退職を勧められて、あせって急な思いつきで転職してしまう人がいます。そういう人に限って、細切れ転職者になってしまうんです。
転職した会社でうまくいかないと、「ここは俺の来るべき場所じゃなかった」とすぐに転職してしまう傾向があります。
かつて、私のことを「何回転職するのだ」と叱っておきながら、短期間であっという間に転職を繰り返し、いまでは私よりも転職が多い先輩がおります。

●最後に一言、お願いします。

佐藤:転職が一般的になってきましたが、誰もかもが転職する必要なんてありません。この本を読むことで、転職に対してどう向き合ったらいいかを考えるきっかけにしてもらえたらと思っています。
また、実際に転職活動を行なうのであれば、冒頭に書いてある通り、「転職すべきかどうかをまずは慎重に考え、計画的に転職活動を行ない、内定(オファー)が出たら熟慮して、最後は大胆に一歩を踏み出す」というのが私の基本的な考えです。
でも、最近の男性は内定が出ても、くよくよ悩む人が多いんですね。その点、女性は思い切りがいいんですよ。是非見習って欲しいものです(笑)。

本日はありがとうございました。
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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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