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インタビュー

著者に訊けビジネス選書家 藤井孝一の直撃インタビュー

ビジネス書のベストセラー著者に、著者インタビューで定評のある藤井が直撃体当たりインタビューをしてきます。本に書けなかったメイキングから、執筆の苦労話、読者への熱いメッセージまで、著者から引き出します。

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2008/03/18
成功の瞬間 ‐ 主藤孝司さん

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今回は『成功の瞬間(講談社)』の著者、主藤孝司氏にお話を伺います。本書は、101社アンケートにより、起業家に運と直感が不可欠な理由を明らかにしてくれます。
主藤孝司(すどう・こうじ) さん

日本で唯一の戦略出版コンサルタント。上場企業やベンチャー企業を専門に書籍出版・CD出版・ラジオ出版をクロス展開、ブランドを確立する戦略構築を専門とする。主宰する起業家大学を通じ、のべ1000名以上の起業家、経営者に直接指導、アドバイスしてきた起業家養成の専門家でもある。

●現在の仕事をお教え下さい。

主藤:現在、戦略出版コンサルタントとして活動しています。具体的に言うと、書籍出版、CD出版、ラジオ出版といった手法を使い、業績アップにつながる形で、適切に企業の価値を発信するにはどうすればいいのか、アドバイスしています。

●本書執筆のきっかけをお教えください。

主藤:仕事が一段落したときに、たまたまある方と「起業家の成功には、運と直感が大きな影響を与えているのではないか」という話になったんです。もともと私が何となく感じていたことでもありました。そして、それを裏づけることはできないだろうかと考えたんです。そこで、39歳以下で年収10億円以上の企業をつくり上げた方たちを対象にアンケート調査を行うことにしました。

●大変だったんじゃないですか。

主藤:その通りです。39歳以下で年収10億円以上の創業経営者という条件に合う方を見つけ出すだけでも、ひと苦労でした。しかし、帝国データバンクに協力していただき、747名にアンケートを送って、101名から回答を得ることができました。そのうち、22名はインタビューにも協力していただけました。

●読者からの反響をお教えください。

主藤:すでに経営している方からは「自分自身の経験に照らし合わせてみて、思い当たるふしがあります」、これから起業しようと考えている方からは「成功している経営者から、そんな話を耳に挟んだことがあります。それが、数字で客観的に証明されたことに驚きました」という声が上がってきています。

●本書の活用法をお教えください。

主藤:すでに経営されている方にとっては、自分への自信を深めるツールになると思います。これまで、成功には運と直感が必要だということを、客観的に証明したデータはありませんでしたから。
一方、これから起業しようと考えている方は、ビジネスは理論だけでなく、直感も大切だということを理解してほしいですね。ビジネスは芸術と同じなんです。同じプロセスを踏んでも、同じものをつくることはできないんですよ。

●成功している起業家の共通点を教えていただけますか。

主藤:成功している起業家には、幼少期、虫取りや魚釣りが上手だったという共通の傾向があります。もちろん、全員がそうだとはいえませんが、一つのおもしろい共通点といえるのではないでしょうか。たとえば、カブトムシを捕まえるにしても、土の状態、風向き、木の色などから、直感を働かせて、どこにいるかを探らなければなりません。この状況はお互い無関係な情報の集まりです。カオスのような中で限られた情報を頼りにして総合的に自分の意志で判断する「脳のくせ」を幼少期から学んでいたんでしょう。その力が起業家として必要な無から有を生み出す力や直感力の源になっているんだと思います。

●虫取りを通して、直感力が鍛えられますしね。

主藤:その通りです。でも、いまは日常で直感を働かせる機会も少なくなってきています。どこか知らないところに行くにも、ナビでいけばいいし、天気にしても、ケータイで確認すればいいわけですから。これからは直感を使う機会が減っていきますから、直感力を発揮する能力は人間から退化していくのかもしれません

●今、どのようなタイプの経営者が増えているのでしょうか。

主藤:営利追求を第一にせず、ビジネスの手法で、世の中の手の行き届かない問題を解決しようという人たちが増えています。そんな社会起業家が評価されてきているのも、一つの兆候と言えるかもしれません。

(続く)

●サラリーマンにとっても、直感は大切なのではないでしょうか。出世しているサラリーマンを見ていると、運と直感が大きな影響を与えているように思えるのですが・・・・。

主藤:その通りです。会社に勤めている人は制約が多いですから、その中で出世しようと思ったら、起業するよりも大変なことなんですよ。出世やキャリア形成においても、運や直感は大切になってきます。

●執筆の裏話があれば、お教えください。

主藤:本書は完成まで4年もの月日がかかっています。本書の「おわりに」にもさらっと触れたんですが、その間に、アンケート調査に協力していただいた起業家の約4割が株式公開を果たしたんですよ。

●4割とは、かなり高い確率ですね。

主藤:あり得ない確率ですね。この事実は、運と直感を活用している起業家は、成功するという証明とも言えるのではないでしょうか。

●次回作のご予定をお教えください。

主藤:実は、アンケート調査で得られたデータの半分以上をカットしているんですよ。次回はこれらのデータを元に、執筆していきたいと考えています。興味深いデータが、まだまだあるんですよ。

●それは、どのようなデータでしょうか。差し支えのない範囲でお教えいただけますか。

主藤:たとえば、成功している起業家の多くは、6時間以上も睡眠をとっているんですよ。普通、起業家と言うと、売れっ子の芸能人並みに3時間ぐらいしか寝ていないんじゃないだろうかと思われていますが、そんなことはないんですね。
脳には、睡眠中、1日の情報を整理するという重要な働きがあります。睡眠は、脳にとって必要なものなんですね。そう考えると、成功している起業家の睡眠時間が長いというのは、理にかなっていると言えるんです。
また、起業家と言うと、大卒以上というイメージがあると思うんですが、実は、大卒以上の学歴の方と、それ以下の学歴の方は、同じぐらいなんですよ。つまり、起業には、学歴はあまり関係がないと言えるんですね。
学歴が高いと、周りから「いい大学を出て、せっかくいい会社に入ることができたのに、もったいない」と反対されて、起業することにも躊躇してしまいます。一方、学歴が低い方は、失うものが少ない。だから、起業に踏み切りやすいというメリットがあります。
ただし、大企業に発展しうるようなビジネスモデルを作り上げている人は、学歴が高い方が多くなる傾向が強いです。理由は簡単で、起業初期は直感と営業力で事業は立ち上がりますが、経営が高度化するに従って、ファイナンスの知識や経営管理の知識が必須となってきます。そしてそれらはともに、専門的な学問となるので、そういった知識を学んだ機会をもつ高学歴の経営者の方が、大企業に発展する組織をスタートアップ時から想定できているからでしょう。

●最後に読者にメッセージをお願いします。

主藤:本書の「はじめに」でも述べましたが、ビジネスの世界では、運と直感というものが誤解されています。成功している起業家には、運と直感が大きく作用しています。その事実を少しでも多くの人に知って頂きたいと思います。そしてこの本を読んだ方は、是非多くの方にそういったお話を広めていって頂きたいと思います。今のままの誤解された状況では、いつまでたっても正しい情報が必要としている人に伝わらないですから。

本日はありがとうございました。
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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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