著者に訊けビジネス選書家 藤井孝一の直撃インタビュー
ビジネス書のベストセラー著者に、著者インタビューで定評のある藤井が直撃体当たりインタビューをしてきます。本に書けなかったメイキングから、執筆の苦労話、読者への熱いメッセージまで、著者から引き出します。
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2009/01/14
質問会議 チーム脳にスイッチを入れる! ‐ 清宮普美代さん
清宮普美代(せいみや・ふみよ) さん
東京女子大学文理学部心理学科卒。ジョージワシントン大学大学院人材開発学修士(MA in HRD)取得。大学卒業後、(株)毎日コミュニケーションズにて事業企画や人事調査等に携わる。数々の新規プロジェクトに従事後、渡米。米国の首都、ワシントンDCに位置するジョージワシントン大学大学院マイケル・J・マーコード教授の指導の下、日本組織へのアクションラーニング(AL)導入についての調査や研究を重ねる。外資系金融機関の人事責任者を経て、(株)ラーニングデザインセンター http://www.ldcjp.com/ を設立。国内唯一となるALコーチ養成講座を開始。2009年1月現在、260名強の認定ALコーチを国内に輩出している。また、主に管理職研修、リーダーシップ開発研修として国内大手企業に導入を行ない、企業内人材育成を支援。NPO法人日本アクションラーニング協会代表。
●現在のお仕事をお教えください。
清宮:人材開発と組織開発の実践プログラムである「アクションラーニング(AL)」を広げるために、国内大手企業の研修、ALコーチ養成講座を行なっています。私どもは、アクションラーニングのコーチ養成にはアクションラーニングの体系的な知識を習得する「基礎講座(PSD)」から「質問会議」いわゆるALセッションの進行・運営役である「ALコーチ養成講座(ALC)」、AL研修プログラムのトレーナースキルやプログラム設計のノウハウを学びながらALの体現者としての人材を養成する「シニアALコーチ養成(SALC)」など段階的な講座ラインナップを用意し、定期的に開催しています。受講生としては主に、組織開発コンサルタントや研修講師、企業内の人材育成担当者、リーダー層の方が参加されています。http://www.jial.or.jp/program/index.html
●本書を書かれたきっかけをお教えください。
清宮:「質問会議」という言葉は私の造語で、「アクションラーニング」を行なうときの会議体という位置づけです。私はこの「アクションラーニング」というプログラムを広く一般に普及したいという目的から、今回、本書を執筆しました。本書は「アクションラーニング」の実践者の裾野を広げるため、入門書という形をとっています。おかげさまで、多くの方たちから、一般的な「アクションラーニング」の本と比べて、「分かりやすい」との声をいただいています。
●本書のタイトルにある質問会議について、お教えください。
清宮:「質問会議」とは、「質問」と「答え」だけで、議論を進めていくというものです。自発的な意見は、一切禁止です。しかも、参加者の立場は上司・部下の区別なく、平等に扱われます。一見、奇妙に見える形式ですが、この質問会議を通して、多くの企業が生産性をアップさせています。
●本書の反響をお教えください。
清宮:「実際に、質問会議というものを体験してみたい」という声が多いですね。先ほど述べた通り、「質問会議」は「アクションラーニング」を行なうときの会議体です。そのため、「質問会議」を試してもらいたいという方には、先にご説明した「アクションラーニング」の講座を受けてもらっています。これまで「アクションラーニング」の講座と言えば、人材開発・組織開発のプロフェッショナルが大半でした。ところが、本書の出版後は、幅広い方たちが「アクションラーニング」の講座に参加してくれるようになりました。「アクションラーニング」の裾野を広げることが狙いでしたので、これはうれしいですね。
●実を言うと、質問と答えだけで進めていく会議で、コミュニケーションが円滑になったり、生産性が上がったりするなんて、最初は半信半疑でした。でも、実際に初対面の人たちと質問会議を試してみたところ、お互いの距離がぐっと縮まったのには驚きましたね。
清宮:質問の形にすると、お互いの関係性が深まるものなんですよ。それは、質問したり、されたりするとき、私たちは話し手の話をよく聞こうとする習性を持っているからです。
また、質問会議では「今日のランチは何にする?」といった単純なものではなく、現実に困っている問題を取り上げます。そのため、相手も真剣に考えてくれます。その結果、問題が深く掘り下げられ、お互いの信頼関係が築き上げられていくんですよ。
●単純に考えて、みんなで考えるという場があったほうが、職場として楽しいし、社員のモチベーションアップにもつながりますよね。
清宮:その通りです。なかには、「質問会議」を実践したことで、いままでの自分のやり方が部下のモチベーションダウンにつながっていたんだということに気づく上司もいます。
でも、実際、企業に「質問会議」の手法を導入するときは大変なんですよ。上司という立場になると、「みんなの意見が聞きたい」と言いながらも、自分自身が先頭に立って、意見を言いたくなるものですから。しかも、部下に言っても、言っても、言い足りないような気がしてくるものですし。一方、部下の側も何か質問したとしても、「君はどう思うの? どうしたいの?」などと、「質問会議」の手法でコミュニケーションを取ろうとする上司では頼りないと感じる人もいますし。
●主にどういった方たちが「質問会議」の手法を学びたいと講座に参加しているのでしょうか?
清宮:人材開発、組織開発の担当者やリーダーが中心ですが、現在は、特に中小企業のオーナー社長が参加するケースが増えています。それは、会社が大きくなってくると、自分ですべての問題に答えるのがきつくなってくるし、それで会社としていいものかどうか不安になってくる。そこで、みんなから意見が欲しいと思うようになるからです。
普段、彼らは「あれして」、「これして」と、人を動かしています。でも、実はそのことに気づいていません。ところが、質問会議の手法を学ぶと、いままでの自分のコミュニケーションの取り方が、一方的に命令するだけで、人の意見など全く聞いていなかったことに気づくんですよ。こうした気づきは、自分自身が変わるための第一歩です。トップまたはリーダーのコミュニケーションの取り方が変わると、組織もラクになるし、本人もラクになます。結果、生産性が上がります。
●最後に、読者にメッセージをお願いします。
清宮:「質問会議」は体感しないと分からない部分もあります。読むだけでなく、ぜひ、一度、体感してほしいですね。そして、その効果を実感してほしいです。