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2006/02/24
千円札は拾うな。
目の前に千円札が落ちていたら、ほとんどの人が「ラッキー」とば
かりに手を伸ばすはずだ。しかし、ここで千円を拾えば、本当に「得」
をするのだろうか。
成功した人は千円を拾わない。いや、拾わない人が成功する。千円
札を拾うと目線が下がり、他のものが見えなくなるからだ。成功す
る人には、千円札よりもはるかに価値のあるものが見えているのだ。
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■■ ビジネス選書&サマリー
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<読者数49,660部>━
■今週の選書
■千円札は拾うな。
■安田佳生/サンマーク出版
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目の前に千円札が落ちていたら、どうする?常識の「半歩先」の考
え方が学べます。
【1】
目の前に千円札が落ちていたら、ほとんどの人が「ラッキー」とば
かりに手を伸ばすはずだ。しかし、ここで千円を拾えば、本当に「得」
をするのだろうか。
成功した人は千円を拾わない。いや、拾わない人が成功する。千円
札を拾うと目線が下がり、他のものが見えなくなるからだ。成功す
る人には、千円札よりもはるかに価値のあるものが見えているのだ。
もし千円札の横に1万円札が落ちていたら、ふつうは1万円札を拾
うはずだ。しかし、日常生活や仕事の場面には、千円札のほうを拾
っている変わり者がたくさんいる。
「千円札」に固執せず、目線をあげれば、そこかしこに散らばって
いる宝の山が見えてくる。そうした宝の山に比べれば、千円札など
視界から消えて無くなるはずだ。
【2】
道端にも、すぐ目の前にあるお店にも、そして自分の家の中にさえ
も、宝は落ちている。しかし、ほとんどの人は、その宝を拾おうと
しない。それがただの石ころにしか見えないからだ。
一見、石ころにしか見えなくても、その石ころは、磨けば光るダイ
ヤの原石かも知れない。見慣れた景色や、日常の中に溶けこんだ「価
値のある情報」というものはよくあるのだ。
価値のある情報は「ひらめき」を生み、新しいビジネスや自己の成
長をもたらしてくれる。その果実の大きさは、千円札などとは比較
にならないものだ。
果実を手にするためには、目の前の千円札を捨てなくてはならない。
もっと大きな目で世の中を見渡し、自分の目線を億単位にまで高め
られれば、千円札など視界から消えてなくなってしまうはずだ。
【3】
毎日を馬車馬のように働いているビジネスマンに、私は「残業をや
め、週休3日にしよう」とアドバイスしている。休みが増えれば遊
んだり買い物したりできるようになる。
こうなればストレスがたまらないから、エネルギーがあふれ、短時
間でも集中して仕事ができるようになる。さらに休日の体験が、成
長につながる。仕事の成果を上げるためにも、休みは必要なのだ。
「忙しくて休めない」「仕事時間は減らせない」という人は、時間
が中途半端に足りないのだ。頑張ってもどうにもならなくなれば、
がむしゃらに頑張るのをやめ「頭を使う」ようになる。
そこで必要なのは「考える時間」だ。仕事時間を大幅に削減しつつ、
成果を維持するには、何かを「劇的に変える」ことが必要だ。その
「やり方を劇的に変える方法」を見つけることが成長と言える。
考えるためには、休まなければならない。七日でやっていた仕事を
四日でやるためにはどうしたらいいのか、休んだ三日で考えるのだ。
昔は「走りながら考えろ」などと言われたが、今は戦略もなく駆け
回っても成果は望めない。頭を使って、初めて足が生きてくる。
人間は、暇ができれば自然に考えるようになる。暇だからといって、
テレビも見ず、本も読まず、ただじっとしていろと言われれば、自
然と考えるようになるものだ。だから休みが必要なのだ。
【4】
仕事というのは、野球で言えば試合に出ているようなものだ。練習
せずに試合に出続けても、うまくならない。走りこみをしたり、バ
ッティング練習をしたりしなければ、試合で勝つことはできない。
仕事も同じだ。一見、人間は仕事をしながらスキルアップしている
ようだが、単に日々仕事をこなしているだけでは、スキルアップに
はならない。
自分の仕事のスキルを上げるためには、仕事のスキルを上げる「練
習」をしなければならない。深く考えるとか、成果を劇的に上げる
やり方を考えるといったことが、その「練習」にあたる。
日本では、週休2日が普通になったが、それまで6日働いて上げて
いた成果を上まわる成果を5日で上げるために工夫した。仕事その
もののやり方を変えたりしながら、結果として製品やサービスの質
は上がったのだ。
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■■選書コメント
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本書は、新卒採用コンサルティングや、人材紹介などを行うワイキ
ューブの社長、安田佳生氏の最新作です。マスコミにもよく登場し
ている人なので、ご存じの方も多いと思います。
本書で、最初に目をひくのがタイトルの「千円札は拾うな」です。
お金が落ちていれば、拾うのがふつうです。真意は「目先の価値を
捨てれば、もっと大きな価値を手にできる」ということです。「損
して得を取れ」ということです。
そもそも、著者が専門とする人材への投資は「損して得を取れ」の
際たるものと言えます。企業にとって、人に投じるお金は、額が大
きいわりに即効性がないため、一見損をしているように考えがちで
す。帳簿上でも、人件費や教育費はコストとして扱われます。
しかし、帳簿上はともかく、人への出費は本質的には投資です。い
ずれ大きなリターンをもたらす可能性を秘めています。自分や子ど
もへの教育への出費を考えれば、理解しやすいと思います。
本書は、タイトルの同じように、常識とは正反対のことで読者を「は
っ」とさせ、続けてその意味を説くことで「うーん、なるほど」と
うならせる仕掛けが盛りだくさんで、読んでいて飽きません。
たとえば「顧客を捨てろ」「優良すぎる客はつくるな」「四半期決
算はダメ」「借金をせよ」など、いずれも一見、非常識です。しか
し、詳しく読めばどれも納得できるものばかりです。
しかも、いずれも著者自身の体験や、コンサルティングの指導経験
から導き出されたものなので、力強い説得力があります。
人の確保や、モチベーション向上など、人の問題に悩む経営者には
特にお勧めです。さらに、就職・求職活動中の人、自分自身を投資
価値の高い人材と考えるビジネスパーソンにもお勧めします。
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