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2013/09/06
非常識な本質

非常識な本質

本質は、非常識

1972年、日産自動車に入社し、ブルーバードやセドリックなど爆発的に売れたクルマの開発中枢で働いた。最後に手がけたのが、世界初のマルチパフォーマンス・スーパーカー日産GT‐Rだった。このクルマの開発・製造・販売すべての責任者を務めた。GT‐Rは、ポルシェやフェラーリを超え、ヨーロッパの超一流メーカーが教科書として学ぶクルマになった...


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■今週の選書
■非常識な本質
■水野和敏
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■■選書サマリー  
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本質は、非常識

【1】

1972年、日産自動車に入社し、ブルーバードやセドリックなど爆発
的に売れたクルマの開発中枢で働いた。最後に手がけたのが、世界
初のマルチパフォーマンス・スーパーカー日産GT‐Rだった。

このクルマの開発・製造・販売すべての責任者を務めた。GT‐R
は、ポルシェやフェラーリを超え、ヨーロッパの超一流メーカーが
教科書として学ぶクルマになった。

本書のタイトル「非常識な本質」というのは、耳慣れない言葉で、
理解しにくいかもしれない。そこで、この言葉を理解してもらうた
めに、レース監督時代の話をしたい。

私の本職は、クルマの開発だが、1989年から95年まで日産子会社
のレーシングチームで畑違いのレース活動をやっていた。好きでや
っていたのではなく、突然の異動だ。当初は、完全に落ち込んだ。

【2】

当時のレース部門はヤバイ状態だった。市販車改造のレースでは、
スカイラインGT‐Rが50連勝していた。ところが、私が担当する
メーカー選手権のレースは、惨敗続きだった。

メーカー選手権のレースで、当時の日産が実行していたのは、誰も
が常識で考えることだった。つまり「ヨーロッパの一流レーシング
会社に作らせれば、良い成績が残せるはず」というものだ。

ところが、日本側にもヨーロッパ側にもプライドがある。そのため、
考え方が相容れず、レースに勝とうとするマインドは薄れ、内部争
いをしている状態だった。チームは内部崩壊していたのだ。

そんなバラバラで、負け癖がついたチームに飛ばされた私は、社内
の抵抗を覚悟の上で「常道」とはまったく違うことをすることにし
た。まず「レースで勝つための本質は何か」を徹底的に考えた。

【3】

具体的には、レース監督、車両開発責任者、サーキット技術責任者
という、本来3人の責任者を1人で担うことにした。短期間で結果
を出すためには、3人がバラバラでは非効率だからだ。

次に、予算もチームも、従来より大幅に小さくした。普通は大きく
するところだが、満たされた「ヒト・モノ・カネ・時間」は組織を
崩壊させるという信念を持っていたのだ。

効率のいい仕事をするには、資源は徹底的に絞り込むべきだ。そう
考えた私は、予算を通常の4分の1以下にし、ヒトも通常250~500
人のところを50人に絞った。

人数が減れば、1人当たりの仕事量は増えるが、各スタッフの仕事
の権限は5倍に増える。その結果、自らの考えで開発、実験に取り
組み、レースに臨むことになると考えたからだ。

【4】

「思考の盲点」という言い方がある。日頃から「こういう時には、
こうすべき」という常識に沿って仕事を続けていると、仕事そのも
のの本質や、やっている意味を見失ってしまうのだ。

要するに、考える因子がなくなり、仕事の「何のために何を」が見
えなくなるのだ。結果的に、自分の仕事に疑問を抱かなくなり、惰
性でこなしていくようになるのだ。

しかし、仕事は、物事の本質を見極めて取り組むべきだ。それがで
きれば「ヒト・モノ・カネ・時間」は半分で済むようになる。そし
て、結果は倍になる。

こうした「本質」を実行した結果、国内耐久選手権で3年連続チャ
ンピオン、92年の米デイトナ24時間レースを含め、全戦全勝とい
う成績を収め、日産のレース活動の黄金期を築くことができた。

これは、自分だからできたわけではない。企業がやってきた常識に
捉われず、非常識と思える本質を追求したからこそ、ヒト・モノ・
カネ・時間をかけずに最高の結果を生み出せたのだ。

この本質を理解すれば、世界最強の仕事術が見てくる。そのために
は、常識を突き放すことだ。常識の壁をぶち壊した先にこそ、本当
の自分の希望が見つかるのだ。
 
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■■選書コメント
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仕事の本質を学びます。著者、水野和敏氏は、あの日産GT-Rを作
った方です。GT-Rは、世界初のマルチパフォーマンス・スーパー
カーとされ、車好きなら誰もが知る存在です。

彼が、すごい実績を生み出せたのは、常識にとらわれずに仕事を進
めたからだと著者は言います。本書では、読者がその具体的な内容
を学び、日々のビジネスに活かすことを目指します。

業績のある人の本は、一般にいわゆる体験談で、その多くが自慢話
ということになりがちですが、本書はあくまでも、読み手が仕事の
本質を理解することを目的としています。

つまり、この本の自体が「お客様に尽くす・与える」という前提で、
読者の視点に立ち、読者の欲しいものを提供しようとしてくれてい
るのです。本書の主張に合致しています。

なお、ここで紹介される本質は、たしかに一見「非常識」です。た
とえば「勝つためには予算と人員の削減が必要」とか「好きなこと
を仕事にしない」など、従来のビジネス書とは真逆の主張です。

しかし、これこそがレースに勝ち、 世界最高のクルマを開発できた
など、著者に圧倒的な成果をもたらした「本質」なのです。読めば
そのことが、よく理解できます。

他にも「日本製は評価されていない」「エリートほど使えない」「い
ちばんデキる人間に作業させるな」「学校の勉強はするな」など、
逆バリのオンパレードですが、どれも読めば納得です。

というわけで、クルマ業界で働く方や車好きはもちろん、そうでな
い人でも、きっと仕事のヒントが見つかるはずです。あらゆる分野
のビジネスシーンにお勧めします。

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発行元:(株)アンテレクト 藤井孝一 Copyright 1999-2013
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主宰者

藤井孝一
藤井孝一
経営コンサルタント
週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)発起人・元代表
(株)アンテレクト取締役会長

慶応義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家への経営コンサルティング開始する。2002年6月「週末起業フォーラム(現・週末起業実践会)」を設立。この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく奔走中。

株式会社アンテレクト

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